渡り鳥は、季節の変化を感じ取る名人である。
食料などの事情に応じて定期的に長い距離を移動する鳥を、渡り鳥という。
規則的な移動する渡り鳥は目的地に向かって飛んでいく。太陽の位置などから場所を割り出すというが、そのメカニズムはまだしっかりとわかっていない。ただ、その正確さは、現代の科学技術にも匹敵するほどだという。その力を頼りに渡り鳥は長い距離を旅をする。
例えば、北極圏から南半球まで飛ぶキョクアジサシは、一年で地球を一周する以上の距離、8万キロを旅する。
最近、暑さと肌寒さが交互に訪れる。まさに季節の変わり目だ。日中は汗ばむ陽気かと思えば、夜には上着が手放せない。気温の乱高下に体がついていかないと感じる人も多いだろう。先日、帰宅途中に突然の雨に降られた。傘も持たずに濡れてしまったが体をろくに拭きもせずに寝た結果、翌朝には倦怠感と若干の発熱。いわゆる風邪である。季節の変わり目には体調管理に注意が必要だと痛感する。気温の変化に対応できる服装や、十分な睡眠と栄養摂取が大切だ。特に、この時期は風邪やインフルエンザのウイルスが活発になるとも言われている。自らの健康は自らで守るしかない。
季節の移ろいを渡り鳥たちのように敏感に感じ取りたいが、1日の大半をオフィスで過ごしていると、季節の変化を見過ごしてしまいがちだ。ただ、自然のリズムに耳を傾け、自らの体調にも心を配る。そんな心構えくらいはできるだろう。
キョクアジサシは旅の途中、北大西洋の外洋に1カ月間も留まっているという。熱帯地域を横断するのに備え、魚や小型の甲殻類などを捕食しながらエネルギーを蓄えていると推測される。 渡り鳥たちが長い旅路の中で休息を取りながら進むように、私たちも時には立ち止まり、周囲の変化を感じる時間を持つことで、自らの内面にも目を向ける余裕を持つ必要が、あるのかもしれない。