OpenAIのCTO、ミラ・ムラティが退任を表明 。「自身の探求」のため
https://wired.jp/article/openai-cto-mira-murati-is-leaving-the-company/
1947年、コンピューターの黎明期。ハーバード大学で開発された巨大な計算機Mark IIが、突如として停止した。原因を探った技術者たちは、リレー回路に挟まった一匹の蛾を発見した。彼らはその蛾をノートに貼り付け、「初の実物のバグを発見」と記した。これが「バグ」という言葉の由来であり、以後、プログラムの不具合を「バグ」と呼び、その除去作業を「デバッグ」と称するようになったという説がある。小さな虫が巨大な計算機を止めた逸話は、技術の進歩と思わぬところにつまずきがあることを示しているのかもしれない。
OpenAIの最高技術責任者ミラ・ムラティが、「自身の探求をするための時間と空間」のために退職を発表した。彼女はテスラでの電気自動車の開発や、Leap MotionでのVR技術の経験を持ち、2018年からOpenAIで技術開発を牽引してきた。特に、言語モデル「GPT」シリーズの開発に深く関わり、生成AIの進化に貢献した。昨年、サム・アルトマンCEOの解任と復帰の混乱の中、暫定CEOを務め、組織の安定に尽力した。OpenAIは最近、非営利の研究機関から商業的事業へと急速に転換しており、この変化に伴い複数の技術リーダーが退職している。OpenAIは、人工知能の潜在的なリスクに対処するため、非営利の研究組織として2015年に設立された。その一方で、巨大な開発資金と高度な技術力を必要とする中で、商業的な事業展開を進めている。
このような中でのCTOの退職。彼女の今回の決断は、生成AIが社会を変えていくなかでの、小さなバグ程度の話なのか、それもと新たな何かが生まれる予兆なのか。
生成AIをめぐる人々の動きから、当面目を離すことはできないのかもしれない。